出家詐欺と、その仕組

出家詐欺と、その仕組
出家とは世俗を離れて仏門に入ることを言います。僧侶になるための儀式を得度と言い、得度を済ませると『法名』が与えられます。

 

この法名は実際の名前として、家庭裁判所で手続きを済ませれば戸籍上、下の名前が法名に変わります。出家詐欺とは、この戸籍上で名前を変更できる制度を悪用した、新しい詐欺です。

 

出家詐欺の原因

通常、お寺を管理しているのは住職です。お寺の収入は檀家からのお布施や葬式などで渡されるお布施などですが、最近では檀家が少なくなったり葬式が簡素化されることでお寺の収入は激減しています。

 

お寺の管理費などは法事や法要などのお布施から賄うのですが、最近のお寺離れの影響で日本全国のお寺は経営難に陥っています。

 

お金がなければお寺は潰れますし、住職も生活ができません。住職の中には多額な借金を負っている方もいます。こういった苦境を狙って悪徳ブローカーは住職に出家詐欺を持ちかけます。

 

宗教法人であるお寺の住職は、新しく仏門に入りたいという方に『得度』の儀式を行う権利を持っており、この『得度』を使って行う新手の詐欺が出家詐欺です

 

出家詐欺の仕組み

1,悪徳ブローカーは多重債務に陥っている債務者に対して「多額の借金がなくなる方法がある」と持ちかけ、債務者を住職のお寺に連れて行きます。

 

2,住職は『得度』を行い債務者に法名を与えます。僧侶になるためには本来は修行が必要なのですが、出家詐欺の場合は得度を行った証明書と、袈裟を着た債務者を写した得度の写真を家庭裁判所に見せれば、戸籍上の名前を変えることができます。

 

※通常、多重債務者は銀行の住宅ローンを組むことはできません。しかし、出家すると戸籍上の下の名前を変えることができるため、まったく別人として住宅ローンを組むことができるのです。

 

3,名前を変えた多重債務者は、悪徳ブローカーが偽造した源泉徴収票を銀行に提出し、多額のお金を住宅ローンとして借ります。

 

その後、悪徳ブローカーや、悪徳ブローカーと手を組んでいた不動産業者、住職のもとにお金が分配されます。改名した多重債務者は行方をくらまします。これが出家詐欺の仕組みです。

 

防ぎにくい出家詐欺

本来であればお金を貸し出す銀行側が改名の事実を調べるべきなのですが、戸籍謄本には高度な個人情報が載っているため、銀行側もプライバシー保護のため調べることが難しい状態となっています。

 

そのため、出家詐欺は多くの犯罪者によって利用されています。多重債務者だけではなく、犯罪者や暴力団も得度を利用した法名への改名を悪用して、資金源の調達などをしています。

 

しかし、自治体や宗教界も出家詐欺を指をくわえて見ているわけではありません。自治体は法律で定められた信教の自由を尊重した上で、不活動化している宗教法人の解散手続きを勧告したりしています。

 

出家詐欺に手を染める住職を無くすためです。

 

また、宗教界も全国に点在している不活動宗教法人や住職のいないお寺を回って檀家を説得することで、不活動宗教法人の解散や合併を進めています。

 

新しい法律によって出家詐欺を取り締まる法律ができるまでは、こういった地道な活動しかないのが現状と言えます。


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